トゥフカ・サーガ〜約束の地〜

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  邂逅  

 ムンドゥス・クリュスタルスという世界がある。


 この世界は大いなる光の三大神、ラファ・イリア・シヴァが作りたもうた世界だと歌われている。
 光と秩序の神ラファが土台たる大地と海を作り、安寧の神シヴァが命の源を作り出した。知識の神イリアがそれを生き物が生きやすいように整え、他の神々も、それぞれ森や平原、川や山を創造した。
 海や大地にはシヴァが生み出した源を元として様々な生物が生まれ、それぞれの場で暮らし始めた。やがてその中から神々と似た姿をもつ『人』が生まれた。神々は、自分たちと似た姿を持つ彼ら――人間族、エルフ族やドワーフ族などの妖精族――の誕生を心から喜んだ。
 人は最初こそ神々が手助けしなければ生きられぬほど脆弱な存在だったが、イリアをはじめとした神々が様々な知識を与え、生活の仕方を教える事によって、一人で生活できるようになっていった。
 人は生活の中でお互い協力する事を学び、集落を作り始めた。集落は村や町を成し、やがては一つの国となっていった。
 人々は、始めのうちは互いに仲良く暮らしていたが、互いの考え方の違いから衝突し、やがて争うようになった。争いは徐々に大きくなり、やがては戦乱へと発展していった。
 神々はそれを悲しんだが、それも生物には必要なことと割り切り、必要最低限の干渉しかしなかった。いずれ落ち着くだろう、と楽観視していたこともある。
 しかしその戦乱は長く長く続き、ついに光の三大神のうちの一柱、シヴァが悲しみのあまり発狂してしまった。
 シヴァの乱心のため、世界は崩壊を始めた。おまけにその乱心から産まれた異形の魔族たちが、人々を、神々を襲い始めた。
 そこで立ち上がったのは光の三大神の残りの二柱、ラファとイリア。それと各種族から志願した英雄たちであった。
 当初こそ話し合いを試みたが、悲しみに沈んだシヴァの心は、同胞たるラファやイリアの言葉すら受け付けず、逆に攻撃を仕掛けてきた。
 いたしかたなし、と二柱は判断し、熾烈な戦いが始まった。
 戦いは、長く続いた。
 人々をはじめ、神々ですら命を落とすものもあった。
 しかし、ついにラファがシヴァを討ち倒した。だが、それは相打ちであった。
 世界の崩壊は収まったが、三大神のうち二柱を失い、人々はおろか神々も混乱を極めた。
 残されたイリアは神々を率いて人界を去り、世界の均衡を保つことに全力を尽くした。
 そして神々は代替わりをしながら、この世界の均衡を保っている、と歌われている。
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